病児保育こがも の屋根裏部屋

「昨日のカレー」による食中毒

 世田谷区の幼稚園で、カレーによる集団食中毒がありました。

 一応説明すると、一度冷ました後のカレーによる食中毒は、どこでも起こりえます。例えばお弁当に昨日のカレーを入れた場合などです。

ウェルシュ菌の特性について

 ウェルシュ菌は食肉から感染します。Closridium perfringensともいい、名前から察する人もいるともいますが酸素を嫌う嫌気性菌です。

 ウェルシュ菌が食中毒を起こすためには、3つのプレイヤーが必要です。それから、温度が重要なポイントです。

ウェルシュ菌
43-47度(カレーが中途半端に冷める温度)で急速に増えます。通常の菌体では熱に弱いです。
芽胞
条件が悪いとウェルシュ菌は「芽胞」という特殊な構造になります。熱に強く、100度での短時間加熱程度では壊れません。低酸素で温度が下がると発芽し菌が増殖します。
毒素
食中毒の症状はウェルシュ菌が出す毒素によって起こります。37度くらいで毒素をだしやすくなります。丁度ヒトの体温くらいです。

つまり、

  1. 調理をする過程で加熱(100度)により多くの菌は死滅しても、ウェルシュ菌は芽胞として生き残る。
  2. 加熱した食材(カレーなど)が自然に冷めるとき(43-47度)に芽胞がウェルシュ菌に変り、どんどん増える。カレーの中は酸素が少ないので、さらにウェルシュ菌が増える。
  3. 翌日ウェルシュ菌が増えているのに、十分に加熱していないカレーを食べる。
  4. ウェルシュ菌が毒素を出す至適温度(37度)という小腸の中で毒素を出して、発症。

というふうになります。ウェルシュ菌による食中毒は、腹痛・下痢ていどで重症になることは少ないとされていますが、かからないことに越したことはありませんよね。

対策

 食中毒予防の原則は、食中毒の原因菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」です(ウイルスの場合は「もちこまない」「ひろげない」「つけない」「やっつける」)。

増やさない

 ウェルシュ菌が増えないようにするためには、急速冷却がひつようです。鍋ごと冷蔵庫には入れることは難しいので、小分けにして冷蔵庫に入れましょう。

やっつける

 また、翌日はカレーを食べるときは、加熱しましょう(75度で1分以上)。レンジでチン程度では、ウェルシュ菌は死滅しません。かき混ぜるとウェルシュ菌が苦手な酸素も入ります。多少芽胞が残りますが、芽胞のまま毒素を出し食中毒を起こすことはありません。

 温めたまま保存する場合は、芽胞が増えない60度以上にしましょう。

 当然のことながら、カレー以外にもシチュー・煮物などもウェルシュ菌食中毒を起こす可能性があります。

 札幌市のパンフレットが分かりやすかったので、リンクを張ります。PDFです。

≪ナオちゃんとモリちゃんの食品衛生教室 第20号≫ウェルシュ菌食中毒

おまけ

 HACCP(ハサップ)というのがあります。もともとはNASAが宇宙旅行中での食事の安全性を確保するために考え出された食品衛生管理システム(Hazard Analysis and Critical Control Point)です。

 食中毒を防ぐ6つのポイントがあります。家庭でもできることなので、読んでみてください。東京都福祉保健局の解説です。

家庭で行うHACCP ~家庭でできる食中毒予防6つのポイント~